【2016年、診療報酬・急性期 在宅復帰率80%へ引き上げ】
厚生労働省は2月10日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、2016年診療報酬改定について答申した。
全体の改定率は▲0.84%で本体報酬は+0.49%。入院医療では急性期の7対1一般病棟の要件を厳格化するなど、早期退院と医療機能分化をさらに促進していく。
「7対1病棟」は2015年10月時点で約37万床。2014年3月の診療報酬改定前の38万床をピークに、緩やかな増減で推移している。厚労省は2025年時点で7対1病棟を現在の約半数にあたる18万床へ絞り込む計画のもと、2014年度改定で在宅復帰率75%を要件に設定。今回の改定案ではさらにこれを80%へ引き上げる。
2014年8~10月の実績では、7対1病棟の平均在宅復帰率は92%と高い水準を維持しており、80%を下回っているのは2%程度となっている。
さらに、要件のうち「重症度、医療・看護必要度」の基準を満たす患者の割合は15%から25%へ引き上げる。その一方で、基準となる評価項目に手術直後や救急搬送後の患者、認知症・せん妄の患者等を追加。病状が安定し回復期や慢性期病棟の方がふさわしい入院を適正化するとともに、密度の高い医療を必要とする患者は適切に評価する。
地域包括ケア病棟は手術・麻酔を包括外に
2014年度改定で新設された「地域包括ケア病棟」は、急性期治療が経過した患者の受入れと在宅復帰支援、および在宅からの緊急時受入等の機能を有し、地域生活を継続するための医療として位置付けられている。
在宅復帰率要件は70%。
2015年4月時点で病床数は3万2千また入院患者の入院前の居場所は、自院の急性期病床59%、他院の急性期病床18%、自宅12%などとなっている。
今改定案では、入院基本料に含まれている手術・麻酔の費用を包括外とし、比較的軽度な急性期患者への入院体制を整備する。
地域包括ケア病棟での手術の実施状況は療養病棟と同程度で少なく、骨折・外傷に対するリハビリテーション目的が多い実態となっている。同時に、地域包括ケア病棟でも必要とされる手術が受けられるように、包括外とすることで、報酬上の評価を高める狙いもある。
有床診療所に在宅復帰要件
有床診療所には在宅復帰機能強化加算(1日5点)が新設される。主な要件は①入院から15日以降の患者が対象②在宅復帰率70%③退院後1月以内に当該診療所職員が居宅訪問、または在宅療養の担当医療機関からの情報提供により、在宅生活が1月以上継続する見込みを確認し記録④平均在院日数60日以下――など。
有床診療所の療養病床についても1日10点を新たに加算し、在宅復帰率は50%、平均在院日数は365日以下を要件とする。
なお、同加算算定の有床診療所(療養病床)は、7対1一般病棟や地域包括ケア病棟の在宅復帰先に含まれることになる。
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